季刊保育問題研究291号
新たな自分に出会う実践記録
保育現場において「書くこと」は、自分の実践を振り返り、評価し、改善していく過程の中で、
その記録をもとにした同僚との話しあいを生み、実践を様々な角度から捉えたり、
自らの子ども観や保育観に気づいたりする機会ともなります。
一方で、実践記録が大切なことは分かっていても、
いざ書こうとするとなかなか筆が進まないことも多いのではないでしょうか。
実践記録を書くためには、「どのように書くのか」という文章技術の他、
「子どもの表情や行動、言葉をどう理解するのか」という子ども理解の力、
書いた実践記録(=自分の保育)を他の保育者にさらけ出す勇気も必要です。
いずれにせよ、一つの実践記録が出来上がるまでには、書き手の様々な苦労や心の葛藤があり、
それを受け止め、励ます仲間関係や信頼関係が職員同士にあることを見逃してはいけません。
今回は、実践記録の書き方ではなく、実践記録を書く意義やその過程に焦点を当てることが
重要だと考え、特集企画を組みました。
保育者として、昨日の自分より少しでも成長していくために、実践記録を書くことが
どのような意味を持つのか、実践者からの体験や研究者からの視点を結合して
共に学びたいと思います。